胸郭出口症候群とは、肩や腕の運動や感覚に関わる神経や動静脈が障害を受け、肩、腕、手のしびれや痛み、手の動かしにくさなどを自覚するような状態のことをいいます。
腕を司る神経や血管は、胸郭出口と呼ばれる隙間を通って、首から腕に向かって走行しています。
首の周りには食道や気管、神経や血管、筋肉など多くの重要な組織が密集しており、物理的に狭いところを走行しているのですが、その中でも3箇所の狭窄部位が存在します。
それぞれの場所で神経や動静脈が圧迫されるのを、①斜角筋症候群②肋鎖症候群③小胸筋症候群といい、これらをまとめて胸郭出口症候群といっています。
胸郭出口症候群は、長時間のデスクワークや悪い姿勢で座っている方、家事などで首を曲げている時間が長い方、スマホを長時間使う方、重いものを持つ仕事の方、なで肩の女性などに多いとされています。

ウェイトトレーニングで上半身メインに鍛えている方で胸郭出口症候群を起こす方もいます。
これは筋肉が発達して神経や血管を圧迫するためです。
症状としては、つり革につかまる時や、洗濯物を干すなど、腕を挙げる動作で腕全体のしびれや肩や腕、肩甲骨周囲の痛みが生じます。
手のしびれについてのブログでも紹介しましたので、気になる場合は手のしびれのブログも読んでみてください。
また、肘から手の小指側に沿ってうずくような痛みと、しびれ感、ビリビリ感などの感覚障害に加え、手の握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状が現れることもあります。
さらに重度になると、手指の運動障害や握力低下、手の筋肉の萎縮により手の甲の骨の間がへこみ、手のひらの小指側のもりあがり(小指球筋)がやせてきます。
胸郭出口症候群の対処法は?
基本的には肩こりやストレートネックの方と同じく、首肩まわりのストレッチ体操や正しい姿勢を意識することです。
胸郭出口症候群は猫背や肩を巻き込むような姿勢で、しびれや痛みが増すので胸を開くようなストレッチはおすすめです。
トレーニングでこの症状がでている場合は胸郭を圧迫しないようにバランスよく取り組むことが重要になります。
胸郭出口症候群とリュックサック麻痺について
胸郭出口症候群と似ている症状にリュックサック麻痺があります。
リュックサック麻痺は、重い荷物を長時間持つことで、肩や背中の筋肉に過剰な負担がかかり、筋肉が緊張して起こるしびれや痛みです。

リュックの重みで姿勢が悪化し、首や背中に歪みが生じ、 血行不良や胸郭出口への長時間の圧迫で血行が悪くなり神経を圧迫しておこります、このためリュックサック麻痺またはリュックサック症候群とよばれています。
医学的には腕神経叢不全麻痺といいます、重さで肩が沈んで腕の神経が下に引っ張られることで起こるしびれだからです。
この場合は麻痺の原因になる重い荷物や負荷をなくせば改善してきます。